| (1)取り組みの背景 |
- 日本の総世帯の1/4が高齢者世帯、その多くが単身・夫婦のみである。高齢者が地域で住み続けるためには、地域包括ケアの確立と併せ、老々世帯や独居高齢者が安心して在宅生活できる環境づくりが必要である。近年、技術の進化が著しいロボットを住まいに取り入れることが有望だが、ロボットが、現行の居住空間で十分に機能できるのか、ユーザーの高齢者にとって、親しみやすく、使いやすいか等、実践に向けて検証の余地がある。
- 本提案者の藤田医科大学は、地元豊明市と連携し、地域包括ケアを構築するため、様々な健康増進事業に取り組んでいる。その一環として、大学至近にあるUR豊明団地を対象に、UR都市機構と連携し、高齢化するコミュニティをサポートしている。空き店舗に地域包括ケア中核センターのサテライト「まちかど保健室」を開設する等、団地の高齢者と顔がみえる関係で在宅生活の支援に取り組んでいる。
- その一方、地元民間企業(トヨタ自動車、ブラザー工業等)と協働して、介護・看護が必要な人のための介護支援ロボットや生活支援機器の開発に取り組んでいる。
- 以上の背景を踏まえ、在宅生活支援のためのロボット共存での課題や有効性の検証、ロボットが活躍できる居住空間(特に戸建て住宅でなく、団地住戸を対象)のあり方を検討する。
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| (2)取り組み内容 |
(1)ロボティックスマートホームの居住空間の開発
- 計画の初期段階から、ロボティックスマートホームをUR豊明団地の集会所棟「けやきテラス」に整備。UR豊明団地の住民がロボットを身近に感じられ、見学可能な実験施設を団地内に整備することで、団地住民のロボットへの関心を高めるようにした。
(2)団地住戸への実装に向けた検討
- UR都市機構の協力のもと、新たな試作ロボットを団地の空き住戸で実証実験した。
(3)団地住民モニターによる実証実験等
- 団地住民に取り組みを周知して、ロボットの実証実験に参加してもらう機会づくりをした。各種イベントやプロモーション活動を通じて、モニターを募集、応募してもらった団地住民にロボットや機器使用方法等のレクチャーを行い、ロボットや機器を身に着け、生活体験を行ってもらった。
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| (3)取り組みの成果 |
- ロボティックスマートホームを「けやきテラス」に開設したことで、団地住民の意見を聞きながら、ロボット開発を進めることができるのは、かなり貴重な場所である。このことは協働している民間事業者からも同様な意見を聞く。通常、大学で機器開発を行う際、元気な高齢者のみに参加してもらうことが多く、実際に団地で生活されている、色々な属性の高齢者に協力してもらう機会はなかなかない。ロボティックスマートホームがユーザーの近くにある意義を改めて感じる。
- 近年オープンイノベーションの場として「リビング・ラボ」が注目されているが、今後もユーザーと大学、事業者が共同で開発を進めていければよいと考える。
- 実証実験を通じて、団地住民にとって、ロボットやIoTへの期待が大きいことが改めて分かった。「機器に対して抵抗がある訳でなく、期待をもって実際の生活に組み入れていきたい」と考えていることは新しい発見であった。
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| (4)今後の取り組みの方向性・課題 |
- 我が国の住宅ストックの中で、団地が占める割合は大きい。そのため、今後もロボティックスマートホームの整備やロボットの実証実験を団地内で展開していきたいと思っている。実際にロボットを団地住戸に導入していくためには、ロボットの小型化、稼働音の低減化、さらに低コスト化を進める必要があり、技術開発を進めたい。
- 今後もUR都市機構と連携し、団地住戸を活用した実証実験を行い、UR団地や他の団地での展開等、社会実装に繋げていきたい。
- ロボット開発だけでなく、IoTはかなり技術開発が進んでいる。高齢者の見守りや生活の快適さを確保するためには、IoTが有効である。ロボットとIoTを連携させることで、高齢者のトータルでの在宅生活支援の実現が期待でき、今後も追及していきたい。
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| (5)配置図、平面図等 |
配置図・平面図等一式(PDF)
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| (6)建物諸元等 |
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| (7)事業者からひとこと |
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| 備考 |
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