フローレンスガーデンプロジェクト

• 現在日本は、生産年齢人口が減少し財政が悪化するなか、どのように高齢者、特に独居高齢者の生活を支えていくかという課題に直面。
• これまでケアシステムの中心には病院が置かれてきたが、加齢に伴う心身の変化や生活の質の低下に対する医療モデルの限界は明らか。
• 提案者グループは、地域包括ケアを、医療、介護を含んだ生活全般の質を高めるための支援ととらえ、あらゆる相談ができるワンストップの生活相談をその中心に置くことで、次代のケアシステムを構築し、この課題に対応しようとしている。

• 看護学生寮の1階部分を高齢者向け住宅（フローレンスガーデンハイツ）に改修し、ソーシャルワーカーによるワンストップの相談サポートを提供するとともに、高齢者と看護学生との交流を促す。

＜ハード面の取組＞

• 高齢者向け住宅（13戸）：住戸面積20m2。バリアフリー改修（住戸内車いす対応可能、手すり設置、キッチンのIH化、既存ベランダ壁を撤去し車いすで出入り可能なデッキを設置）、各戸スプリンクラー設置、照明のLED化。
• 旧食堂（独立した建物）を、キッチンを備えた多目的室に改修。

＜ソフト面の取組＞

• 入居金（30万円）で、ベッド、テーブル、いす、冷蔵庫、キッチンテーブルを事前に準備。
• ソーシャルワーカー（6名）が担当する入居者を月2回訪問し、ワンストップで様々な相談に乗るほか、電話による24時間対応を行う。
• 高齢者向け住宅に隣接する旧管理人室（2DK）を入居者や学生の座談室として利用。
• 毎年入居者を交えて新入生歓迎会を実施するほか、適宜看護学生と入居者との交流会を企画・実施。また年2回の防災訓練は高齢者向け住宅と看護学生寮とが合同で行う。
   

• 5人の高齢者が入居。専門家に相談できる安心感も提供しており、「賃貸住宅」としての自由な暮らしを大切にしたい方に評価されている。
• 入居者は看護学生と和やかに挨拶しあう関係をつくっており、特定の看護学生と個別に親しくなる入居者もある。入居者が部屋で倒れているのを別の入居者が発見し、親しい看護学生を呼んで救急に連絡し受診できた例もあった。

• 開設3年目で入居者が5名と少ない（全13戸）。問い合わせは少なくないが、食事・洗濯・送迎等のサービスの希望が多く、現状の家賃等では運営できない。また居室が狭いことも入居が進まない要因。
• ワンストップの生活相談付き住宅が理想の住まいとなる高齢者像は、自分らしい生き方を貫きながら、それぞれの形で少しずつ人生の終わりについても主体的に考えたい人。独居の生活に不安を抱える都会の高齢者は多いので、そういう方に来てほしい。

配置図・平面図等一式（PDF）

「フローレンスガーデンハイツ」　基本データ
【住宅・施設の形態】 高齢者向け賃貸住宅
【敷地面積】　1,326.58m2
【延床面積】　1,132.55m2
【構造・階数】　木造3階建て（1階部分が高齢者向け住宅）
【住戸面積・住戸数】　21.22m2　　13戸
【住戸内設備】　浴室、トイレ、ミニキッチン、収納
【共同利用設備】　多目的室
【管理開始年月日】　平成27年6月
【家賃】　50,000円
【入居金】　300,000円
【ワンストップ相談サービス】　20,000円
【食費】-
【入居状況】　5室
【平均年齢】　79歳
【平均要介護度】　1.27
【スタッフ体制】　ソーシャルワーカー6名

• フォローアップ調査の報告書（PDF）
• 検証報告（PDF）