きどのイドバタ-風景と人の交わる”きどのミチ”-

　対象地域は、都市部への橋やバイパスの開通をきっかけに、近年、子育て世帯等の移住が増加し、ベットタウンとして発展している。一方、昔ながらの人々の関係性が育まれた場所は時代の流れにより失われ、日常の中で地域住民が交流し過ごす場所や機会が少なくなっている。また、急激な地域の変化により福祉ニーズも子供から高齢者まで多様化している。
　本提案では、子ども達がこの地域で原風景を作れるよう、また、高齢者や地域の人々の共有地となるよう、就労継続支援Ｂ型、訪問看護ステーション、放課後等デイサービスなど福祉をツールとした多世代共生型拠点を整備する。
　整備にあたっては、農地や自然の風景が残る地区の緩やかな斜面を計画地として、隣接する公園から地形をなぞって緩やかに繋がるよう計画している。

　熟度の高い提案で、特に建築的に創意工夫が見られる。空間的な力で地域との交流創出を実現することに期待したい。
　また、人口増加し、住民が多様化する地域において、様々な福祉ニーズが求められ、整備すべき福祉機能の優先度も異なると思われる。住民の意向を踏まえながら、濃淡をつけながら、郊外地域における多世代共生拠点のモデルの構築を期待したい。