元保育園を改修した、全世代の人たちが役割を持ちながら暮らす、 集合住宅兼複合施設

　対象地域では高齢化と過疎化が進むなか、地域の高齢者への支援を拡充しながら、世代を超えた定住促進、地域住民が交流できる場の創出を通じて、地域社会の再生を目指す必要がある。
　本提案は、廃園となった保育園を多世代共生型の住宅兼複合施設として改修する。賃貸住宅、農園、動物飼育場、ショップ、レストラン、食品加工所、コミュニティスペースの一体的整備を通じて、入居者が自ら運営に関わることで共生の場の創出、多世代が役割を持ちながら共生できる、持続可能なコミュニティ施設づくりを進める。併せて、カーボンニュートラルやゼロウェイストを目指す持続可能な社会モデルを構築し、自然と共生するものづくりを、生活の場で広く展開し、人口減少地域における住宅・施設のモデルを目指す。

概要資料（PDF）

　本提案のような過疎地域において、既存施設を活用した地域社会の再生を目指す提案は意欲的であり、居住を組み入れた地域交流の創出と観光産業拠点というコンセプトは共感できる提案である。
　一方、「多様な世帯や多様な家庭環境の人々を対象」とするが、具体にどのような年齢層、所得層、意識を持つターゲットを設定するのかは不明瞭であるので、明確に設定する必要がある。
　また、多世代の交流を生み出すため、賃貸住宅や農園、動物飼育場、ショップ等を計画しているが、それらをどのように地域の高齢者支援や地域における定住促進、交流に役立てるのか、もう少し事業シナリオを詰める必要がある。
　上記の内容は具体的な事業の組み立てにも関係する内容であるため、事業の最初の段階で、整理する必要がある。過疎地域における持続可能性の高い、波及的な事業展開に繋げることを期待したい。