⼤家、NPO、企業、⾏政が連携する空家を活⽤した弾⼒的な居住⽀援モデル

　社会的養護出身の若者や妊産婦、母子家庭、年齢を問わず困難を抱えながら生活をしている女性にとって安定的な住まいを確保することは大きな課題となっている。
　本提案は、対象地域において空き家を改修し、若者や母子家庭を支援するNPO団体と妊産婦に対する住まいと居場所を提供するNPO団体が連携し、入居する母子世帯の需要に応じて、両団体が役割分担し、弾力的にスイッチングさせながら居住支援を実践するものである。
　空き家改修当初は、若者や母子シェアハウスとして、居住者の自立支援、交流・互助支援を行うが、入居者の妊産婦の需要に応じて、運営事業者をバトンタッチさせ、同じ建物で妊産婦の居住支援、相談・交流の場としての地域拠点に転用させる。

概要資料（PDF）

　本提案のような都市部では、このような拠点の必要性が高く、重要な役割を果たすといえる。また、複数の支援団体が連携して、段階に応じて役割分担しながら一つの空き家を活用していくというスキームの構築は興味深く、モデル性があるといえる。
　一方で、「母子家庭への自立支援」と「妊産婦への支援と自立支援」は方法論が異なり、連携の困難さがあると推察される。またシェアハウス事業から妊産婦支援事業にスライドする際のタイミングの見極めやプロセスは、提案内容からは読み取りにくい。事業を実施する過程で、移行に関する工夫点や課題点等について考察を加え、また丁寧に記録し、情報発信することで、同様な取り組みの波及的な事業展開につなげることを期待したい。